2017/06/20

雨あがりは、空からの贈り物

子どもたちが思いのままに遊べる場所

子どもも保育者も一緒に楽しむ
子どもも保育者も一緒に楽しむ

6月は、よく雨が降る季節です。雨あがりの園庭のあちこちには、水たまりができています。子どもたちは「待ってました」とばかりに、ハダシで水たまりに飛び込んで「グチャグチャ」「ヌルヌル」「ベタベタ」「ピチャピチャ」……。後先考えずに、大喜びで泥んこ遊びをします。保育者もハダシになって、一緒に「バチャバチャ」と楽しんでいます。
しかし時代の反映だと思いますが、年少さんが入園して1学期の間は、失礼ながら本当に遊び方がへたです。汚れることが気になって、いろいろな遊びへの参加ができない子どもさんも、年々増える傾向にあります。

きゅうくつな生活環境で育つ子どもたち

これは子どもたちのせいではありません。生活環境を見直してみれば、納得できることばかりです。あっちでもこっちでも、子どもたちが好きに遊べる環境も、子どもたちだけで安心して遊ばせられる場所もありません。公園で木登りができるわけでもなく、家の庭で汚れを叱られずに泥んこ遊びができることも少ないでしょう。
その代わりにしているのが、いつもきちんと用意されたおもちゃとか、乗り物とか……。それらは鬼ごっこやかくれんぼ、ボール投げといった、群れをなして遊ぶこととはちょっと違っています。遊びがずいぶんと浅く、個人的で守られているようです。そのため、ほんの少しの人数でしか遊べないのが特徴になってしまったような気がします。このような、まるでいつも縛られているような状態で過ごした子どもたちが、3歳で入園してくるのです。

一人ひとりの意欲をかきたてる外遊び

竹の子幼稚園でそんな子どもたちを受け入れると、とにかくまず「幼稚園は、何をしても頭ごなしには叱られることのない場所」だという安心感を伝えています。
普通の幼稚園では、たいていはきちんと並ぶ、座ってしっかり話を聞く、先生の言うことを聞きもらしてはいけない、指示を守るといったことを、新学期の保育のねらいに入れやすいものです。ですがそれらは、よく考えてみれば、主人公である子どもの気持ちが後回しになっています。

安心して熱中できるように見守る
安心して熱中できるように見守る

「子どもは、先生の計画にはめてはいけない。自然の中に放り出しておけ。先生の計画より、子どもの夢の方がよっぽど大きいよ」。これは『窓ぎわのトットちゃん』の著者、黒柳徹子さんを育てたトモエ学園の小林先生の言葉です。単なる放任とは違う外遊びは、子どもに解放感を与えるばかりでなく、高揚感や満足感、達成感を育て、子どもの意欲をかきたてます。こうしたことが大切だと考えて保育を展開するので、雨の日以外の園庭では、子どもたちがところ狭しとよく遊びます。足洗いや着替えは大変ですが、それも成長につながる体験です。

群れの中で育つことの大切さ

さて、何をやってもいいということになりますと、子どもの気持ちとしては、うれしくてうれしくてしょうがありません。何をやっても叱られることは少ないので、調子にのって止まらない状態になる子どもたちも、多少は見られます。5月、6月ごろには、ケンカも増える傾向が特徴的に出てきます。
しかし心配はいりません。子どもは立ち止まらずにあちこちに興味が広がり、遊び方もぐんぐん上手になります。年少さんも、年中さんや年長さんの遊びをまねしたり、保育者の誘いかけに喜んで参加し始めたりします。子ども同士の遊びのルールがその遊びの中で伝わっていくことで、新学期の混乱期をたくましく明るく脱出して、子どもたちは育っていくのです。

みんなで仲良く育ち合う
みんなで仲良く育ち合う

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