2015/12/15

育ちの援助とタイミング!!

子どもの自立を促す大人のかかわり方

子どもが成長していく過程では、周りの大人によっていろいろな援助が行われます。幼稚園でも、保育者が生活の一つひとつに援助・指導をします。子どもには、みずから育とうとする力があります。そこにタイミングのよい発達援助を受けることで、ひとつずつ学んでいくのです。そうした子どもの姿は、大人のかかわり方でずいぶん変わってくることをいつも実感しています。

保育者から見るかかわり方の違い

例えば、子どもが洋服を着る場面を考えてみましょう。
まず、保育者が大変働き者のタイプの場合。保育者自身は一生懸命ですが、口数が多く、子どもたちに次から次へと指示してしまいます。「○○ちゃん、今度はこれ着るのよ。次はこれよ……」。そしてぼんやりしている子どもがいると「ほら、△△ちゃん何やっているの。みんなどんどん着ちゃうわよ」と口をはさみます。子どもたちは、言われるままに次から次へと着ていきます。よそ目にはきびきびと動いているように見えますが、いつの間にか言われないとできない子になってしまいかねません。

子どものそばで見守る
子どものそばで見守る

それに対して、ゆったり・にこにこと見守っていくタイプ。みんなは上手に着ることができるから、先生は見ててあげるねという姿勢で介添え的に指導します。見守る中で、時々「○○ちゃん、ちゃんと着られそうだね」とか「ズボンが早くはいてほしいって待ってるね」といった言葉をかけて励まします。そして少しでも成長しているところを見つけると、一緒に喜ぶのです。

子どもが意欲を持てるように力づける

進んで動く子どもたち
進んで動く子どもたち

場面は同じでも、前者と後者ではその指導・援助の内容は、全く違っていることに気づいていただけたでしょうか。みずから生活する意欲が十分でなければ、きちんと洋服を着ていくように見えるだけになるのです。後者のタイプは、その状況だけを見ると指導のまとまりが多少わるく感じられるかもしれません。ですが、少し長い目で見れば子どもが自信をつけて育っていく姿につながります。
つまり、子どもが「自分でできそうなことからやってみよう」という意欲を持てるように、力づけてやることが大切です。ちょっとした仕草に目を止めて声をかけてあげたり、少し待ってあげたりすれば、子どもの自立を促すことになるでしょう。

子どもの気持ちを思いやる

食事の場合を見てみましょう。保育者が「今日は○○ちゃん、きらいなものでもがんばって食べちゃおうね」と言えば、子どもたちは「ウッ、きらいだから何とかしないと」と意識してしまいます。
そうではなく「このニンジンおいしそうね」と言えば、自分から食べてみようという気持ちになることもあるでしょう。

食事をする子どもに寄り添う
食事をする子どもに寄り添う

直接的に「○○をしなさい」「△△しないと困るのはあなたよ」と言うのでは、自立につながらないと思うのです。子ども自身がどうしてもしたいという意欲を持つには、間接的な働きかけが求められます。そのために、子どもたちが意欲を持てる環境づくりや条件づくりをすることも大切です。
陽気に、のんきに、根気よく! 子育てに即効薬はないようです。周りの大人が安心感を持って、時間をかけて子どもを育てていってほしいと思います。

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