2015/4/21

手間をかけましょう

小動物とのかかわりが心の豊かさを育てる

子どもが本物の昆虫をひどく怖がったり、昆虫採集をしなくなったりしているそうです。竹の子幼稚園の子どもと生活していると、信じられませんが……。

昆虫採集にはお金で買えない感動がある

感動と実感が生まれる機会をつくる
感動と実感が生まれる機会をつくる

昆虫採集は、虫を介して自然と向き合う営みではないでしょうか。私が小中学生のころ、家の周りのトンボやチョウを捕まえて、標本づくりをしたことを思い出します。
昨今では、虫がほしいだけならデパートで「これは500円、あれは1000円」と、お金を出せば願いがかなえられます。しかし時間をかけて居場所を探し、胸を高鳴らせて捕まえるときの感動はお金では買えません。感動と実感こそ、感性そのものです。お金を出して買ったカブトムシやクワガタを手にし、その知識が記憶されても、そこには何かが足りないままです。

感性がつくられるプロセスはデリケートなもの

ある評論家の方は「正しい答を覚えるだけの脳では、自分で発想できる豊かさをもった人間にはなりにくい。感性が非常にいびつなままで、知能が発達してしまう」とおっしゃっています。私もその言葉に共感しています。
感性がつくられるプロセスは、実にデリケートだと思います。幼児期にこそ、その成果の見えない積み重ねが必要です。ほかの動物になくて人間にあるものは、想像力、笑うこと、歌うことではないでしょうか。このすべては、心が動かされてはじめて発揮されます。まさに感動し、実感している瞬間でしょう。

いろいろなことに心を動かしながら、育っていく
いろいろなことに心を動かしながら、育っていく

小動物と子どもがかかわれる環境づくり

小動物と子ども同士のかかわりが日常的にできていく環境づくりをするには、なかなか手間がかかります。飾りのように置くだけでは、子どもは見るだけで身近には感じません。子どもはすぐに触り、確かめます。加減ができず、ザリガニ、オタマジャクシ、カエルといった小動物が犠牲になることもあります。
しかし、一方ではアオムシを大切に飼育し、サナギからチョウに羽化するまでを心待ちにすることもできます。残酷さと優しさの間で、心の豊かさを育てていくのでしょう。

本園の周りには幸いにもまだ雑木林が残り、虫たちが住んでいます。そこには季節ごとに、子どもと虫たちの出会いがあります。素手で、棒で、その虫を何とか捕まえようと夢中になる子どもたちの姿があります。好奇心と感性を大事に受けとめ、育てていきたいと思います。

心の豊かさを育てましょう
心の豊かさを育てましょう

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