2020/03/17

時代の変化の中の幼稚園の役割

みんなか安心して心を開ける交わりの場になろう

みずべのように子どもにとって楽しい場所。お母さんにとってホッとし、心を開いて話ができる、そんな憩いの場所。交わりの場所にしよう。

新澤誠治(2002)『子育て支援 はじめの一歩』小学館

トイレが怖かった年少のAちゃん

一人ひとりにきちんと寄り添う
一人ひとりにきちんと寄り添う

この本を読むたびに、数年前の年少Aちゃんのこと、そしてお母さんのことを思い出します。3歳のAちゃんは、入園当初からしばらく「トイレが怖い」と言って、園のトイレに近づくことを嫌がりました。家庭でも同じで、お母さんもAちゃんの排泄について悩んでいました。
そこで担任は、Aちゃんが園で安心して過ごせるように関わりました。紙パンツから布パンツにするところまではスムーズにいったのですが、トイレに行くことを嫌がるAちゃん。パンツがぬれたらすぐに着替えるなど、手厚い関わりを行なっていきました。

Aちゃんへの寄り添いとその後の変化

そんなある日の午前中、大便の失敗をしてしまったため、トイレへ連れて行くことにしました。「いいウンチが出てすっきりしたね」と声をかけ、ほっとした表情をチャンスにしました。トイレ内で汚れをきれいにし、洋式トイレへ座るように声をかけたところ、すんなりと座れたのです(1階トイレの奥は広いスペースになっています)。
「Aちゃん上手に座れたね」と声をかけると、表情が和らぎ少し笑顔も見られました。トイレの扉のところに動物の絵がぶら下げてあることにも気づき、興味をもったようで20分近くトイレで過ごしました(トイレを清掃する人がいるので、いつもきれいです)。この日からトイレを怖いと言わなくなり、クラスの子どもたちと一緒にトイレへ向かう日もどんどん増えていきました。
そのことをお母さんにも伝えることで安心され、家庭でもトイレに対する不安が薄れてきたと喜ばれました。1学期が終わるころには、Aちゃんは自分でトイレへ行き用が足せるようになり、失敗はほとんど見られなくなったのです。

みんなで恐竜になってトイレへ行くぞ!
みんなで恐竜になってトイレへ行くぞ!

おむつ外しは家庭の責任?

手洗いも自分で
手洗いも自分で

一昔前に比べ、子どものおむつがなかなか取れにくくなっていると感じています。そして、子育て広場「いない いない ばあ」でも、2歳・3歳の子どもたちのお母さんから、トイレトレーニングの悩みが増えているようにも思います。
「おむつ外し」は家庭の責任という指摘をされる方もいらっしゃいますが、現代はそれがなかなか難しい時代なのではないでしょうか。マンションやアパートの一室で子どもと向き合いながら、おしっこのサインを読み取り、トイレに誘うことをがんばっている親子がたくさんいらっしゃることも知っています。新築の家で排泄の失敗が気になってしまうことに悩むお母さんも知っています。ついつい、便利な紙パンツを使い続けてしまうご家庭の様子が浮かびます。

子どもたちを真ん中に、一緒に育ちを応援する

さて、周囲に同じ年代の子どもが少ないなど、トイレに座ってみようとするモデルがいない今の時代は、家庭でそれをすることの難しさもあるようです。こうした時代とともに子どもの生活習慣を支えて行くのは、園の存在なのかなと思うこの頃です。
「紙パンツでの入園はできません」「入園までに排泄の自立をしてほしい」という園がある一方で、竹の子幼稚園は子ども一人ひとりの今を大切に、焦らないで進めて行くことをおすすめしています。これは決して「甘やかし」ではありません。子どもさんにしっかり寄り添い、お母さん(保護者の方)と一緒に子どもたちの育ちを支えて行くという、幼児教育としての取り組みです。
生活習慣の自立は、園任せでいいわけではありません。しかし、変化する子育て環境の中で、幼稚園の役割がサービスではなく、子どもたちを真ん中に一緒に育ちを応援していく共同育児の場になることの必要性を感じています。冒頭で紹介した新澤誠治先生の言葉はまさに、幼稚園が子どもとお母さんをはじめとした保護者のみなさんが、安心して心を開ける交わりの場になろうというメッセージであろうと思います。

お母さんたちも笑顔になれる場所
お母さんたちも笑顔になれる場所

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