2012/5/15

「主張」も「我慢」も育ってほしい!

心強く、心やさしく、豊かに……を願って

大切にしたい、子どもの「自己主張」。幼児期は自我をしっかりもてる時期とはいえ、それが「わがまま」になっては困ると大人は悩むところです。自己主張が強いというと、どうしてもわがままで「我慢できない」というイメージを抱いてしまいますね。

「自己主張」と「自己抑制」が共に育ち合う

集団の中での関わり合い
集団の中での関わり合い

日本では、自己主張が強い人は我慢がきかず、自己を抑えることが多い人は自分の意見をはっきり言えない、というように「自己主張」と「自己抑制」は一元的に相反するものと捉えがちです。しかし日々、子どもたちの成長を見守る私たち保育者としては、この両者は人間として両方併せ持って育ってほしいものです。社会性が高く、集団の中で群れ関わり合っていくためには、両者がひとりの人間の中で共に発達していくことが望まれるのです。

「人と違っても自分の考えを話せる」「言われなくても自発的に行動できる」「嫌なことは嫌といえる」「相手にゆずることで、いろいろなことがうまくいくこともあることを知る」こういったことは、主張も我慢もできるという姿でしょう。こういった人間を育てるためには、かなりの根気で子どもと付き合うことが要求されます。

子どもの気持ちや発達の様子を知る努力をする保育

さて、遊びの場面でトラブルがおきたときの子どもたちの様子です。
・なにがなんでも自分のものにしてしまう
・どちらもゆずらず、けんかになる
・すぐに泣いて助けを求めてくる
・すぐにあきらめて、ゆずってしまう
・なんとかしようといろいろ工夫する(年長になると少しずつ増えてきます)

じっくりと子どもの様子を観察します
じっくりと子どもの様子を観察します

幼稚園ではどんなときも、じっくりと子どもの様子に付き合う努力をします。よほど危険なこと以外は、口や手を出さずに観察します。「あっちにもこっちにも遊具はあるし、なんでここにこだわるんだろう」など、その子の気持ちや発達の様子を知る努力をするのです。どの子どもにもとっても必要なことは、安心できる環境です。自分が今やっていることを否定されず温かく見守ってもらえ、時には「頑張ってるね」と声を掛けてもらったり、時には「こうじゃないかな」と援助をしてもらったりすることです。

心強く、心やさしく、豊かに
心強く、心やさしく、豊かに


子どもたちはこれからも、たくさんの心ゆさぶられる体験をするでしょう。この幼児期の体験が就学につながっていくと思います。心強く、心やさしく、豊かに育ってほしいと願っています。

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