2012/2/21

高め合い育ち合う子どもたち

子どもたちの持つ力の素晴らしさを実感

園での子どもたちの生活や遊びを見ていると、素敵な場面に出会います。

心でつながっているB君とK君

赤い滑り台の脇にあるままごとハウスでのできとご
赤い滑り台の脇にあるままごとハウスでのできとご

ある日の園庭です。年中児のB君の遊びに注目して、少しの間その子を追ってみました。B君が走り寄っていく先には、B君と同じバスで登園している年長児のK君がいました。赤い滑り台の脇にあるままごとハウスの屋根の上に、軽々とよじ登っていたのです。K君はその屋根の上から木にぶら下がるような格好で、喜々として遊んでいました。
B君はハウスのところに到着したものの、とてもK君のようにはできそうもないと思っているようでした。するとK君が「B君……やる!?」というような言葉をかけました。「そこの木に足をのせて……手で……」と具体的に指示を出し、B君にも登ってくるように援助しはじめたのです。

少しためらっているB君もK君に続こうとハウスの隣の木によじ登り、そこからハウスの屋根に登ろうとしました。「うーん、うーん」と上半身を屋根にくっつけて、何とかよじ登ろうとしましたが、うまくいきません。すると、さらに上の木に登ろうとしていたK君が、B君を気にしはじめました。その様子を少し遠くから見ていた私は、B君は諦めた方がいいかなという思いを持ちながら、B君に少し近づきました。
その時です。K君がサッとB君の手をつかんで「そこに足をやって……よいしょっ!!」と声をかけてくれました。諦めかけていたB君の顔がニッコリと笑みにかわり、グッと踏ん張って屋根の上に登りきったのです。そして屋根をまたいで座り、満足げにほほえみました。

「ありがとう!」などという言葉は特に交わされませんでしたが、ふたりの表情は明るく、心はつながっているようでした。そんなふたりの様子を見ていた私に気づいたK君が、さらに高いところから「ヤッホー」と声をかけてくれ、それにつられたB君も「ヤッホー!」と叫びました。私も嬉しくなって「ヤッホー」と返しました。滑り台の上にいた年少の子どもたちも「ヤッホー」と……。
 

さりげない認め合いから出発する子ども同士の関係

こういった子どもたちの高め合い育ち合う姿は、大人がすぐ側にいて見張っていては、なかなか見られなと思います。大人がすぐ側にいたら、おそらくB君を助けてあげたり、または危険だからとやめるように諭したり、あるいはK君をやたらと褒めたりしてしまうことはないでしょうか。
集団生活の中での子ども同士の関係は、さりげない認め合いから出発しているようです。その子の力が最大限に発揮されようとするとき、自然にサッと手を貸す友だちに驚かされます。お互いの力量をよく知って、気にかけ合っているのですね。こうした瞬間に出会ったときは、子どもの持つ力の素晴らしさを実感します。

「ありがとう!」を交わさなくても<BR>心はつながっている
「ありがとう!」を交わさなくても
心はつながっている
集団生活の中での<BR>さりげない認め合い
集団生活の中での
さりげない認め合い

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