2016/8/9

けんかといじめ

楽しく伸びやかに育つための援助

けんかやいじめは悪いこと、やってほしくないことと大人は考えがちです。しかし、幼児教育の場では発達として捉えています。

けんかができるということ

一人ひとりの育ちと個性
一人ひとりの育ちと個性

けんかが起こる、ということは「幼児がけんかできる状態にまで発達してきた」ということだと私たちは受け止めたいです。入園以来、体が成長し精神も発達してくる子どもたち。友だちとのかかわりが広がって、さらに自己主張もできるようになったんだと喜びたいと思うのです。みなさんはいかがお考えでしょうか。
けんかをすると、まず「自分と相手には異なる所がある」と知るきっかけになります。大人は、被害者・加害者という捉え方にならないように援助したいものです。痛み・悲しみ・悔しさ・葛藤などを体験することにもなります。そしてたびたびけんかをしているうちに、一緒にすごしているときや遊んでいるときの楽しさに気づき始めるはずです。実際、すぐにけんかになるのに何故かお互いに近くにいたがることが多いのです。

子どもたちをもっと好きになれるチャンス

成長と信頼につながる努力
成長と信頼につながる努力

保育者は、放任状態でけんかをただ見ているのではありません。けがにつながると判断した場合は、すぐ止めに入ります。その場合でも子どもたちを裁くような態度をとらず、お互いの言い分をじゅうぶん聞いて、あくまで育ちにつながるように努力します。子どもたちが興奮しているときは、ぎゅっと抱きしめることだってあります。けんかに白黒つけるわけではないのです。けんかができるところまで発達してきた子どもたちを愛し、もっと好きになれるチャンスにしたいと思っています。そうすると子どもたちに「大人は信用できる」と思ってもらえ、信頼関係を深めることにもなるでしょう。

中学生のいじめとは違う幼児のいじめ

楽しく伸びやかに育つ子どもたち
楽しく伸びやかに育つ子どもたち

幼児は自己中心性が強く、力の強い子が、力の弱い子に向かうことがあります。この行動は、いわゆるいじめではなく未熟な行為と受け止めています。中学生前後の陰湿・残酷、そして集団のいじめとは異なるということです。もちろん、気が気でないお母さんの気持ちは分かっているつもりです。気になることがあれば、すぐに保護者のみなさんに連絡・相談をさせていただき、よりよい育ちへの援助を一緒に考えていきたいと思います。
子ども一人ひとりが、園でもご家庭でも楽しく伸びやかに育っていくこと。これこそ、私たちの共通の願いです。幼稚園は大勢の子どもたちが一緒に生活して喜び、育ち合う場所。やさしさと強さを持って育っていける環境をつくっていきたいと思っています。

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