2014/3/11

心のバリアフリー

日常の中で違いを受け入れ、育まれる感性

違いを肯定して、お互いを認め合う園生活

竹の子幼稚園には、毎年それぞれに違った障がいのある子どもたちが入園し、みんなと一緒に生活や遊びを楽しみ成長しています。見た目には分かりにくいけれど社会性やコミュニケーション能力に障がいがあり、個別化した理解や配慮が必要な子ども。肢体に障がいがあり、園生活全般に支援が必要な子ども。病気を抱え遊びや運動・食事などに配慮が必要な子ども……とそれぞれに違いがあります。

みんな違って当たり前
みんな違って当たり前

開園当初より、どの子も区別なく受け入れて40年以上が経ちました。しかし、当初を振り返ると同情のような思い上がった気持ちも多分にあったことに気付いたこともあり、人としての未熟さを反省しながら現在があります。これまで毎年、日常の保育や行事のあり方をきめ細やかに検討し、教職員の人員を増やしてきました。竹の子幼稚園の全ての子どもが人として豊かに成長できるよう、全力で努力し続けています。また、保護者のみなさんに深いご理解をいただき、みんなでたくさんのことを学び合って温かい幼稚園の環境がつくられています。
障がいがあることは決して特別なことではなく、共に生きていく中で「いろんな友だちがいて当たり前」「人はみんな違って、それがいい……」そんな気持ちで育ち合ってほしいと願っています。

子どもの興味を受け入れ、肯定的に関わること

子どもたちは、自分と違うことに「どうして」「なんで」といろいろ興味を持ちます。それは「どうして歩けんの」「どうして喋れんの」「赤ちゃんみたいだね」などなどで、スパっと尋ねてくることがあります。こうした言動は、ともすると残酷な言葉のように聞こえますが、私たちはこの言葉を「そんなこと言ってはダメ」と頭ごなしには否定しません。今まで体験したことのない環境での「なぜ」の連発は幼児の素直な表現なので、まずは受け止めます。

さまざまな個性が共存します
さまざまな個性が共存します

「どうしていつも抱っこなの?」に対して「○○ちゃんもあそこで遊びたいから連れて行ってあげるよ。抱っこしてあげれば行けるね」と、ウォーカーを見て「これが無いと歩けんよね」と言う子どもに「これがあるとみんなと一緒に行けるよ」とサポートします。「○○くん、いつもあっちへ行っちゃうよ」という子に「こっちも楽しいことを教えてあげようね」など、日々の生活の中で肯定的に関わっていきます。そうすることで、いつの間にか子どもたちは、みんな違っていることをそのまま受け止めていくのです。
また、障がいのある子どもたちは居心地の良い温かい環境の中で、それぞれの成長をしていきます。私たち教職員、特に保育者の言動・態度はそのまま子どもたちのお手本となっていくので、大きな責任を感じています。

バリアフリー社会を実現させる心の育ち

子どもたちは事実を素直に受け止め、人間はいろいろあって良いのだと平等感をもって仲間として繋がっていきます。そして、お互いの成長や喜びを共有し理解し合っていくのだと思います。他人に興味を持つということは、相手のことを考えるチャンスです。もちろん、時にはトラブルの元になったり嫌な想いもします。しかし幼児の世界で起こるさまざまな事柄は、どれもこれもそのことをきっかけにして人との関わり方や事の善悪を考えたり覚えたりしていく、とても大切なチャンスになります。
やさしさや思いやりの気持ちは教えて覚えることではなく、生活の中で体験的に感じ取っていく感性の育ちだと思います。心の育ちは、まさに感性の豊かさなのだと思うのです。相手をそのまま受け入れ、相手の立場を考えて行動ができる人々の心が、バリアフリー社会を実現する真の力ではないでしょうか。

違いを受け入れ、広がる仲間の輪
違いを受け入れ、広がる仲間の輪

障がいのある子どもさんの保護者のみなさんも、入園にはさまざまな葛藤がおありだと思います。入園によるたくさんの理解者との出会いや明るくたくましい子育ては、多くの人たちの励みになります。幼児期の教育が、みんなの心を大きく揺さぶる、育ち合いの場になることを心から願っています。

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